デスゲーム
階段の中ほどまで上がって、やや駆け足だったのを止める。


「本当に良かったのでしょうか?あの場にちー君ただ一人を残して。もし負けたら…」

「あいつは負けねえよ。まずは1勝とったと考えてもいい」


俺がそう言うと、雫は不思議そうな瞳で見てきた。ただ、九条はどこか納得している顔だ。


「氷室の強さは身をもって知ってるだろ?それに意地でも勝つよ、あいつは。今は自分の事考えろ。氷室が勝って俺達が負けたら意味ないからな」


以前よりあいつは雰囲気が変わって、性格も変わった。仲間を認め、大切にするようになったと思う。

根拠はないがその仲間という存在に、氷室の強さが加わると最強を感じる。唯一欠けていたピースがはまったのだから。


「…分かりました。注意して行きましょう。『デスゲーム』は何が起こるか予測不可能ですから」

「でも少しはリラックスしないとね。でないと全力出せないよ柊ちゃん」


グイッと雫を後ろ向きにし、懐に抱き寄せた九条。そのまま少し屈んで雫と顔を並べた。
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