デスゲーム
「死んじゃ……いやだよぉ。私のせいでこんな………お願いだから目を覚ましてよお!!」







「……お願いならしょうがないな」


目を開けると雫の顔がすぐ目の前にあった。ドキッとするだろ。可愛いんだから距離あけとけ。

雫の肩を掴んで立ち上がると、神崎が驚いているのが目に入った。


「復活っと。どうした?さっきまでの自信は」

「お前…どうして」

「ん?ああ、風邪薬は昔から苦手なんだよ。あの水は強烈に苦いだけだった。つまりセーフ」


ん、ここにも驚いているのが。まだ涙流してるな。何が起こっているのか分からないのか、ただ呆然と俺を見ている。

そんな床にへたりこんだままの雫の目の前に顔を近付ける。柔らかい頬に触れて涙を拭う。


「もう少し見たかったけど我慢できなかった。…フフッ、ありがとな」


笑顔を見せると瞳に正気が戻ってきた。でもなんだか様子がおかしい。


「ぁあ……ああっ…」


逆に涙がまた溢れ出し始めた。それは瞼に溜まって大粒となり、我こそ先にと頬を伝う。
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