デスゲーム
「雫、どうした?」


俺がそう言うと俯いてプルプルと震え出した。本当に何が起こってるの?


「隼人君のぉ…」

「えっ!?」

「バカあァ――!!」






パァァンッ!!





「いってぇッ」


雫の平手打ちが見事に決まった。後ずさる程の威力、こいつうますぎだろ…。

痛む頬を擦りながら雫を見ると、立ち上がりほっぺたを膨らませていた。手も力強く握ってる。


「バカッ!バカバカ…うぅ…バカぁ…」

「悪かったって。もうしないから泣くのやめっ…」


顔を赤くし涙を溜めた雫は、俺の言葉を最後まで聞かないまま抱き付いてきた。勢いが良く少しよろめいたが、両手にすっぽりと収まる身体。


「謝ったから許しますけど……心配したよぉ。…良かった、本当に良かったぁ…」

「…やり過ぎたな。でも安心しろ。俺はここにいる」


優しく雫を抱き返す。安心させるよう、軽く、そっと。

最後にとっておきのかわいい所が見れた。もうこんな事できないかもしれない。

ありがとう。そしてごめんね、雫。
< 507 / 638 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop