デスゲーム
「来るな…来るんじゃねえよ……ッ!?雫?」


雫は俺の前に立ちはだかり、静かに両手を広げた。階段の方をスッと見据え、レインを待っているかのように。


「隼人君は…私が守るから。…死んじゃっても…あなたが生きていれば…満足だから」


声が震えてる。身体も小刻みに揺れ始めた。雫…また無理してるのか。俺のために、また身を呈してくれてるのか。

その姿に思わず後ろから雫を抱きしめた。できるだけ優しく…軽く。


「もういい。もう…頑張らなくてもいいんだよ」

「ぇ!?でもこのままじゃ…」



左手でゆっくりと雫の左手を下に降ろす。そして雫がこっちを見てきた隙をついて……





カチッ







腰あたりで、鍵の合った音が響いた。雫の左手の――『デスゲーム』の証の指輪には白い鍵がささった。


「隼人君何ぃ?何よこれ…ねぇ……ねえ!?」


向かい合って分かった。また…せっかく泣き止んだのに…また涙が溢れてきてる。雫の頬をなぞってそれを拭き取る。
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