デスゲーム
「…黒崎からもらった白い鍵。これで雫は『デスゲーム』から解放され、俺はこの場で一人になれる」


鍵のささった指輪からは光の粒が放出し、雫の身体を包んでゆく。時には白いオーラのようなものも出てきて、光と共に覆い隠す。

これしかない。これが最善の手段なんだ。それに、ちゃんと大切な人のために使えた。


「そんな……隼人君は?あなた一人ここに残したくない!」


雫は白い鍵を抜こうとするが、頑丈に固定されて抜けそうにない。当たり前か、一回しか使えないんだから。

泣きながら四苦八苦してるその手をそっと包み止めさせる。一度首を横に振ると諦めてくれた。


「雫…これで最後かもしれない。だからゆっくり話を聞いて」

「最後だなんて……言わないでよ…。っう…うぐぅ……ぅぅ…」


溢れ出す大粒の涙を両手で必死に拭う雫。頬に片手を当てて、少し屈んで目線を合わせるとこっちを見てくれた。

なるべく優しく見てるつもり。でも涙は止まることを知らずに流れ続ける。頬……熱をもってて少し赤いな。
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