デスゲーム
「俺がいない世界でも……強く生きてくれ。大丈夫、雫ならきっとできるから」

「できなぃ!…できない。そんなの……聞こえない。……ッ!この前約束したよね、一つだけ…願いを叶えてくれるって」


いきなり俺の両腕をギュッと掴んできた。…覚えてるよ。4回戦の始まる前に約束したよな。

雫の身体は徐々に、だが確実に光により見えづらくなってきている。でもまだ今は大して変わりはない。


「今使います。…無事に私の元に帰って来て。必ずまた会えるって約束して!」

「……難しいよ、その約束」


言った途端雫は凍りついてしまった。また俺は悲しませてしまうのか。だが無事に生還できるとも限らない。

うまく言葉がでない雫をそっと引き寄せ抱きしめる。

残酷でごめん。俺が死んだ後……未練があれば次の一歩がでないだろうから。


「約束……してよぉ。……私…楽しみに…とっておいたのにぃ……。…叶えてくれるって…言ってくれたじゃんかぁ。…意地悪…しないでよぉ」
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