デスゲーム
弱く、少しの雑音でも消えかかりそうな声。この静かな空間だから聞き取れた。いや、聞き取ってしまった。


「俺だって…別れたくねえよ。……初日の出、みんなと行くんだぞ?笑顔でいるって約束してくれ」

「自分の都合ばかり……一方的に押しつけないでよ。…なら私だって…勝手に約束したことに…しますから」


光が雫を覆い、身体がかすみ始めた。残された時間は限られてる。

こんな時にわがまま言って……雫らしいな。一度ギュッと抱きしめる。


「…出会えて良かった。雫がいてくれて良かった。よく…こんな俺の側にいてくれた」


ねえ、あの笑顔は何度元気をくれた?あのキスは何度勇気をくれた?

あの……ううん、数えきれない。今まで十分すぎるほどいっぱい大切なものもらった。たくさんの大切な…宝物。


「だから…まだ別れないって…言ってるでしょ?隼人君がいないと何も始まらない。

…『デスゲーム』が終わっても……優菜さんのようにいなくなったら……嬉しくなんかない。…悲しいだけだよぉ!」
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