デスゲーム

―コエ―

視界がぶれ、再度意識が小春から戻った。オーナーはまた俺を冷たく見下ろしてきた。


「あんた……まさか失恋でこんなゲームを始めたんじゃ」

「そうね、それもあるわ。…フフッ、あの後小春は泣き続けた。泣いて泣いて、現実から逃げようとした」


小春の悲しい想いと、行き場のない想いが未だに深く残っている。油断すると自分を見失っちまう。

目を凝らして分かった。俺…泣いているのか。どうして?


「悲しいでしょ?その涙は偽りではない。あなたの心そのもの。嬉しい、同情してくれたんだ」

「ふざ…けんな。これ以上俺の中に入ってくるな。…何がしたい?あんなの見せてあんたは!?」


右手の薬指にはまる、ダイヤの指輪を握りしめる。雫…俺の心を支えてくれ。オーナーは手錠についた鎖を引っ張って俺を寄せ、顔を近づけてきた。


「知りたいんじゃなかったの?『デスゲーム』の始まりが。後で壊してあげるから。絶望と共に知れ」


すると手の平を俺の額に当ててきた。冷たく、暖かさなど微塵もない。閉じた目を開けると、小春 栞の記憶が広がった。
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