デスゲーム
分かれ道でみんなと別れ、家に近づく度に涙がにじんできた。

話したらダメなんだ。私の声は…気持ちは…毒だから。


「ッ!?誰?」


何か黒い影が入口の隙間から倉庫に入っていった。

私の家の中で今は使われてなく、物置と化している場所。

自然と怖くはなかった。一人にさせて。倉庫へはためらわずに入れた。


「暗いなぁ。なんで開いてたのかな?」


ここは天窓から差し込む光しか明かりはない。夕暮れで、中はオレンジ一色だった。

入口をしめて探すものの……何もいない。


「気のせい…。ふぅ、どうすればいいの?もう…私…気持ちを閉じ込めるしか。……私は誰なの?」


倉庫の奥でしゃがみこむ。静かで、物音一つしない、私だけの空間。








『人間、貴様の望みは何ダァ?』





「誰ッ!?」



不意に聞こえた低く不気味な声。でも辺りは誰もいない。


『目の前にいるヨ。見えテないだケさ。…ギャハ☆』
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