デスゲーム
「優菜……優菜ぁ…優菜ぁ!…」

「えっ、ちょっ、栞!?…ん、いいよ。思う存分貸したげる」


気づけば優菜の胸の中にいた。抱きしめるとぬくもりがじんわりと私の心に広がる。

涙がこぼれ落ちるけど、それを優菜は抱きながらぬぐってくれた。


「好きだよぉ…大好きだよぉ…」


顔を埋めてもギュッと抱き返してくれた。もう優菜に嘘はつきたくないよ。


「私も大好きだよ。頼っていいから」


私の気持ちは悲しさしかないのに。今まで必死にこらえてきた。

拓海君を好きだと言えば優菜は傷ついてしまう。でも隠したくはなかった。

優菜とは本当の気持ちで分かり合いたい。私の想いは届くの?ちゃんと伝わるの?


「ごめん、ごめんね。…私ね……伝えたいけど……伝わらない。…声がね…聞いてくれない…」

「ぅん…うん。私が受け止めてあげるから。ずっと側にいてあげるから。…栞…」
< 564 / 638 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop