デスゲーム
私の言葉は曖昧にしか伝わっていない。だけど言葉の最後には必ず頷いてくれる。

優菜の胸で私は思いきり泣いた。言いきれなかった想いを…わだかまりを全て涙に変えて。

掠れた声が保健室に広がる。


「優菜…ありがとう。本当にありがとう。…もう大丈夫だから。一緒に帰ろ」

「もういいの?我慢しなくてもいいんだよ。…うん、なら帰ろっか」


泣いたら少し楽になった。手を借りてベッドから降りると、足の痛みも引いていた。


「それじゃ行こっか」


手を繋いで保健室を出る。優しくて暖かい。そんな安心した気持ちになった時…。


『イイのか?真実を伝えなくテ。ケケッ♪』


レインが私の心に囁きかけてきた。


(いい。そんなことしなくてもみんな笑顔でいられるから)

『ダガ貴様はどうだ。本当は言いたいのダロウ?優菜と二人きり、絶好のチャンスだ』


確かにいつまでも本心を隠したくはない。しかも今は優菜と二人。

……ダメだ。私以外の人は苦しめたくない。
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