デスゲーム
(言わない。レインは黙ってて)

『ホゥ。…俺様は別にイイが、さっき優菜は何て言っタ?』


声はまだ残ってる。「栞の気持ちを聞かせてほしい」、「私なら特別な人に話すなぁ」。

分かってくれる…の?もし優菜が私の立場なら、言ってくれてる?


『ケケッ♪栞の特別な人は優菜ダロウ?なぜ言わない?』

(それは…その…)

『ハハ、むこうが…優菜が栞を特別ダト思ってナイから言えないンだろ。…そうナンダろ!!』

「違うッ!!」


ハッと気づけば最後だけ声に出してしまった。廊下で、優菜と繋いだ手が離れてしまう。


「どうしたの栞。いきなり大きな声出して」

「う…ううん、何でもないから。気にしないで」


驚いた後、心配そうに見つめる優菜の隣を通り過ぎる。

…いやだ、頭がいっぱいになってゆく。

それだけは認めたくなかった。優菜にとって私はただの友達だということは。

その事を考えるとまた目元が熱くなる。私の中で唯一の譲れない気持ちだから。
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