デスゲーム
「幻…これは現実じゃない…」


自分にそう言い聞かせても気持ちは変わらない。心の奥深くにしまってた記憶が再び流れた。

俺が気づいていれば…沙弥は救えた。幻だって…俺が選択を誤ったから。


「誰か……誰かいないのかよ」


誰もいない。何も聞こえない。暗闇の世界でたった一人取り残された。

二人は死に、音もない世界は俺の心を侵食してくる。


「は…ははは。一人か。俺のせいで…全部俺の…。…雫?」


ピクッと雫の指が動いた。一歩…また一歩とゆっくり近づく。


「はや…君」

「雫!」


生きてる。何でもいい。一人にさせないでくれ。何か他の事しないと…心が壊れる。

慎重に雫を仰向けにして抱えると、依然と胸にはナイフ。目をそらしたい光景。


「私が…いるよ?あなたの……一番大切な」


どうすればいい。何をすれば……。どうすればこの世界から抜け出せる?


「ねえ、私と同じ……痛み…受け入れてくれる?」

「お前…何言って…」







ドクンッ!!
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