デスゲーム
栞に俺の声が聞こえてるかは分からない。けど、四方八方暗闇で俺になす術はない。


「…こっち…」


小さな、過去の記憶で聞いた声。一度だけ栞の声が聞こえた。

そしてほんの小さな光が俺の目の前に、先導するかのように現れた。


「栞…。こっちなんだな」


希望がみえた。光は移動して、それを追いかけるとまた移動する。

心…少し開いたのかな?最初は小さくていい。通じ合えば大きくなるから。絆は…そうゆうものだから。


「ここ…なのか」


やがて光は追いついても止まったままになった。両手で器を作ると、光は中に入り静かに消えた。




視線の先…。栞はいた。牢獄のような鉄格子の中で、小さな身体を震わせて。


「栞…やっと見つけた。本当のお前を」

「来ないで!!」




ピッ!!




栞に近づこうとした瞬間、針のような鋭い影が飛んできた。

それは物体となっていて、俺の頬に切傷を作った。


「来ないで……一人にしてて。私に…関わらないで…」
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