デスゲーム
「お願いします。このままじゃあの猫死んでしまいます」


死ぬとは限らんだろ。う~ん…周囲を見渡しても俺一人しかいなさそうだし、小学生は一回言い出したら聞かないし。

『死ぬ』…か。助けられる命なら助けるか。


「ああもう、分かったよ。助ければいいんだろ助ければ。あの川深いからお前はここで待ってろ。あと鞄持っとけ」


再び回れ右して川へとダッシュ。ちくしょ、これだから小学生は嫌いなんだよ。

ガードレールを飛び越え芝生の坂を下り、川原へと到着。


「ん~と、いた。まだそう遠くないな」


川原を走り、川下へと下る白猫を追いかける。そして過ぎたくらいで川へ飛び込んだ。

深さ一メートル満たないくらいか。下半身わりと埋まったな。水を掻き分けながらぐいぐい進む。


「今行くから待ってろ」

「ニャ~?」


…この野郎!?腹立つな。こっち一生懸命してんのに高みの見物かよ。後で殴りたい。


「いいなあお前は気楽でよー!!」


あともう少し。2メートル……1メートル……今だ、段ボールめがけ右手を前に突き出す。
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