デスゲーム
「あなたに…あなたに何が分かるの!?人を傷つけるのが私の一番嫌いな事だったのよ?

それを…無理矢理…」

「現実から逃げるな。俺は沙弥をレインに殺され、みんなと死の淵にいる。

俺だってありえない事実を受け止めてんだよ!」


鉄格子までもう少し。言いたい事を言えば栞は分かってくれる。

お前はどんな気持ちでも大切にする、優しい心を持っているから。

そして…強い心を持っているから。


「優菜さんは来てくれた。栞のために帰ってきたんだ。本当にあんたの事を大切に思ってる証拠だろ」


ピクッと栞の肩が反応する。少し顔を横にして…一瞬だが目が合った。

すぐにまた顔を背けたが、気持ちは形となったのか握りこぶしを作った。


「それでも勇気が足りないなら俺がいる。いいか、俺は絶対にお前を裏切らない。

栞は何も悪くないし、俺はレインしか敵と見ていないから。…信じてくれ」


今はまだ暗闇にいる。底のない、自分が分からなくなりそうな暗闇。

でも、一閃の光だけでいい。それだけでも……暗闇は暗闇ではなくなるんだ。
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