デスゲーム
くそ、風で段ボールが遠くに。届かねえ。


「ニャン」

「うお、危ね!ふぅ、危機一髪か。川に飛び込んだかもしれねえのに大した猫だ」


白猫は段ボールからジャンプして飛び出し、俺の懐へと無事着地した。

何はともあれ良かった。もう死ぬなんてことさせるかよ。白猫を水につかせないように両手で掲げ、川原へと上がる。

とにかく寒い。水が肌と服とをくっつかせ、更に駄目押しの風が吹く。


「大丈夫ですか?ありがとうございます」


川原で待っていた少女が心配そうに駆け寄ってきた。よっぽど心配してたのか、俺の鞄を強く抱き締めた跡がある。


「まあな。鞄サンキュ。じゃ、俺はこれで」


「待ってください。この子どうしましょう」


今度は白猫を抱き抱えて問詰めてきた。まさか…な。


「どうしましょうって。そこら辺に逃がしとけばいいんじゃないの?」

「か、可哀相ですよ。またあの人達にいじめられます」


やっぱそういうことね。また厄介事が一つ増えたと。


「私…お母さんがダメって。動物嫌いだから」


どうする?早くしないとまた説教くらっちまうぞ。
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