デスゲーム
「人間の心を使って遊ぼうと思っタが…裏目になったナ。

貴様らの心は…絆は…俺様を越えてイタ。清水、イイのヲ見させてもらった。アバヨ」


とうとうレインの体は頭まで塵となって消えた。消滅、これで『デスゲーム』は終わった。

だが…素直に喜べない。その代償が大きすぎてしまったから。


「優菜さん、ここから出よう。もう全て終わっ…」





ゴゴゴゴッ…ッ!!





いきなり建物が揺れ始めた。何だ…地震?いや違う。

柱に亀裂が入り、天井もひび割れ、そこから埃が落ちてくる。


これは…館が崩壊してる。


「ヤバイ。ここから早く出よう。さあ……優菜さ…ん?」


ずっと栞を抱き抱えたままの優菜さん。手をさしのべても反応がない。

俺を見ようともせずに、固まり、栞に視線を向けたまま。


「…私は…残る。栞…救えなかった。私もここで…栞と同じように…」


小さな声。下を向いた表情は暗く、それも髪が遮り分かりにくい。

俺は優菜さんの正面にしゃがみ、優菜さんの胸ぐらを引っ張った。

二人の間には動かなくなった栞の姿。
< 612 / 638 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop