デスゲーム
「自分だけが辛いと思うなよ?俺だって同じだ。これ以上ないくらいに心がいてえ。けど前に進まねえといけねえんだよ。

未来を…栞が託した未来を切り開くには、ここで終わるわけにはいかねえんだ!!」


グイッと胸ぐらを引っ張り目線を合わせる。優菜さんの瞳からは涙が溢れていた。

それも…助けを求めるように俺を見つめて。俺まで希望を失ってしまいそうな、情けない瞳。


「栞は何のために命を賭けた?栞の意志を無駄にする気か!?

後でいくらでも泣いてもいい。けど今だけは前を向け!如月 優菜!!」


少しの間優菜さんを見据える。だがその表情は変わらない。

館は崩壊を止めず、俺達を追い詰める。


「…俺はあきらめない。あんたは力づくででも生かせる」

「ちょっ…」


栞の肩を持って起き上がらせ、そのまま背中に背負う。

栞をこんなとこに置いていくものか。そのままゆっくり立ち上がり、出口を探すと自然とどこが出口か頭に浮かんだ。


「最後まで栞の側にいるんだろ?ならついてこい」
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