デスゲーム
「ごめん。…私…私栞を…救えな…かった」

「ごめんは俺の方だ。俺も…救えなかったんだ。…優菜…よく…生きていてくれた」


黒崎は一回目の『デスゲーム』でオーナーは栞だと気づいていたのか。

これで少しは辛さが減るかな。今はまだまだ悲しいけど…信じ合える二人が一緒なら必ず…。

もうここにいるべきじゃない。俺は静かに外へ出た。

燦然と輝く星空のもと、携帯を開く。


「…着信25件。…メール30通…」


病院で開いたときから気になってた。そっと内容を開くと、ほとんどが雫からだった。



『逢いたい』

『今どこにいますか?』

『日の出の見える場所…美崎が丘にいます。ずっと待ってます』



そんな俺を想うメールばかりだった。本当…寂しい想いさせて…ごめん。

髪を掻いて夜空を見上げる。


「美崎が丘。今すぐ行くから…雫」


美崎が丘は平地より高い場所。長い階段を上るとそこは公園のような仕様になっている。

ちょうど町全体を見渡すことができ、人気もなくて静かな所だ。
< 619 / 638 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop