デスゲーム
「分かったよ。だったら俺が引き取ってやるから渡してくれ」

「本当ですか?ありがとうございます。子猫ちゃん、悪い人じゃなくて良かったね」


今は急げ。時計を見ると約束の時間から10分が過ぎていた。


「では…よろしくお願いします」

「お願いされましたと。俺もう行くけど、元気でな」

「はい、色々ありがとうございました」


ガードレールを再び飛び越え、ダッシュで白樺公園を目指す。靴が湿って何とも気持ち悪い。

今の俺見たら何事かと思うだろうな。右手に猫。さらにびしょ濡れ。周りの視線を無視してとにかく走った。


………


「はあ…はあ...いた、桜井だ」


噴水の前のベンチに座ってて輝いて見える。綺麗な黒髪を整えながら携帯をいじくっていた。

しかしあれ、高校生らしき人が近付いていって……絡まれてるなあれ。


「今暇?良かったらランチいかない?おごってあげるからさ」

「困ります。今人を待ってる最中なんで。すみませんが失礼します」

「そんな事言わずにさあ、どう?ついでに」
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