デスゲーム
「ニャー」


沙弥はすかさず白玉を抱き締める。もうこの猫の特等席と化したな。

言っても手離さないだろうな。それに、白玉を歩かせるのも危ないか。


「行きしに言いそびれたんだけど、どうして図書室に呼んだのが俺だったんだ?人脈なら川藤の方が広いだろ」

「川藤君は……賑やかすぎるかな。なんだか話しにくい空気だし。それに…」


言いかけて唇が止まる。何か切片があるのか?


「過去に嫌な事があったのか?俺としては話して欲しいけど。忠告したらましになるかもしれないから」


そう言うと桜井は顔を上げ空を見上げた。その目にさっきの迷いはない。


「じゃあ言うね。川藤君友達思いでしょ?だから福家君の事聞いても、話してくれないと思ったんだ。それが一点。

もう一点は、前に電話番号聞いてきたのよ。断ってもしつこいから溝うちしちゃった。そしたら保健室に直行。

私嫌いなのよね、ああいうタイプ」


あれが川藤にも炸裂したのか。思わず腹を擦ると、あの苦痛が蘇る。保健室レベルって、よく蘇生できたな。
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