デスゲーム
「…嘘なんだろ?目が泳いでるし、声が震えてるし。俺、分かってるから。
沙弥はさ、根本から優しいからそんな言葉言えるわけないんだよ。今日一緒にいて分かった。
自分より他の人の幸せを願うし、世話好きだし、照れ屋だし。
それを壊して…人との関わりを簡単に無くすなんて沙弥には無理だ。違うか?」

「グスッ、全部正解だよぉ…。バカ……バカぁ」


震える体を支えるように抱きよってきた。
指の隙間に綺麗な黒髪が流れる。涙はこれでもかと言わんばかりに出て、沙弥の瞳からどんどん落ちていく。

それで沙弥の気持ちが軽くなるなら、それでいい。


「無理して強がるなよ。弱みを握られるのが嫌なんだろ?本当は、沙弥は俺よりも優しくて、脆い。

だから誰にも心配されたくない。それに応えて心を開くのが怖いから。心をさらけ出せば、脆い事がバレないように誰かを傷つけてしまうから。

この二日間一緒にいて分かったよ。もう俺に対して強がる必要なんてないから」

「何で…お見通しなのぉ?ごめん…なさい。隠し事はぁ…確かにしてる。

してるけどぉ、どうしても話すことは……できないの。でも嫌わないでぇ。お願い」
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