デスゲーム
「嫌うわけないだろ。理由もないのにそんなことするかよ。隠し事の一つや二つ、誰にでもある。

俺が言いたいのは最初に言った通り、笑って欲しい。そんで胸はって毎日を過ごして欲しい。約束、できるか?」

「…うん、する。絶対にする。だから…私を…置いていかないで」

「何回も言わせるなって。俺は沙弥を見捨てるなんて絶対にしない。何が起きようと、絶対に。信じてくれ」

「ありがとう。もう失いたくないよ。誰も」


ようやく泣きやんだ所で、ゆっくりと体を離す。頬に涙はつきまくっているが、もう出てきてはいないようだ。

指で涙を拭ってやる。頬から目に向けて、曲線を描くように。


「何て顔してんだよ。初めて見るわ。沙弥のそんな顔」

「全部隼人のせいだよ。だからちゃんと責任とって。もちろん利子つきで」


目をつぶり、唇を前へ出してくる。もしかして……確かに強がるなとは言ったよ。

言ったけど、その一線を超えるとここまで積極的になるものなのか?まずい心臓の高鳴りが異常だ。バックンバックンいってる。


「い、今でないとダメなのか?」

「ダ~メ!早くしてよ。私だって恥ずかしいんだから」
< 86 / 638 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop