デスゲーム
「な、何であんたいんのよ!人のプライベート覗き見して楽しい?それって最低だよ!」

「覗き見もなにも、そっちが目の前で勝手にいちゃつき始めたんだろ?少し周囲に気を配れば……」



『ヴォゴン!!』




ああ、聞き覚えのある音が…。弟にもするのな。あ~あ、腹抑えて膝をガックン。四つん這いになって崩れ落ちると。

先が読める。俺もああだったから。分かるよその痛み。


「姉貴……そ…れ、禁止…事項」

「ううるさい!言い訳するな!!結果として覗き見したに変わりはない!」


もう自分を優勢にするためなら何でもありだな。拳の関節を鳴らす音が地獄へのカウントダウンのように聞こえる。


「さ、沙弥?ほ、ほら、弟さんも仕方がなかったらしいから…勘弁してやったら?」


俺の方に振り返り、目を怪しく鈍く輝かせる。あれ?幻かな?拳から煙が出てるような。


「隼人も隼人よ。白樺高校の偽情報を初々しい中学三年生に教えないでくれる?

…委員会で寝てる?気軽だあ?ぜんーっぶ隼人『限定』でしょ?」


ヤバい。標的が、獲物が俺へと変わってしまった。一歩、また一歩と歩みよってくる。
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