デスゲーム
福家の家に着きチャイムを押すと福家悠也の母親が出てきた。


「すみません、悠也いますか?」

「居るのは居るんだけど、部屋から出て来なくって。学校で何かあったの?」


部屋から出て来ない?風邪は嘘だったか。嫌な予感…外れるといいけど。


「いえ、何も」

「そう。良かったら声かけてくれるかな?」

「いいですよ、お邪魔します」


福家の家はいたって普通の二階建て住宅。玄関から二階を見上げると電気がついてるから部屋には居る…か。

二階へ上がると、聞いた通り鍵がかかっていた。


「おーい悠也、来てやったぞ。何してるか知らねーが、観念して出て来たらどうなんだ?」


川藤が呼びかけるが、中から返事はない。


「おい、ゲームに負けてばかりだからって逃げるのは良くないぞ。お前より弱い奴だって、いつか来る奇跡の勝利を夢見てるんだ」


そう言うと横から嫌な視線が送られた。

それでも反応は無かった。辺りは静まり返り、福家母が心配そうに見守るだけだった。
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