タイムリミット(短)
絢架の視線を感じながら
あたしは黙って席をたった。
今日の1時間目はサボろう。
那智きっとニヤニヤしてるんだろうな。
バツゲームのことなんか忘れてたりして。
「普通じゃん?」なんてそんな冷静な訳ないよ。冷静でいられる訳ないよ。
あたしは教室にいたくなくて非常階段のドアを開けた。
そして階段に腰をおろした。
ねぇ、那智もう終わるのかなぁ。
バツゲームだったけど、いつもより那智の心が見えた気がして嬉しかったんだよ。
タイムリミットが、少しだけ速まっただけじゃん。しかも最悪な結果で。
流れる雲はいつもゆっくりなはずなのに今日はずいぶんはやくみえた。
1時間目が始まる合図の鐘がなった。
あたしはぼーっと空を見つづける。