春待 〜fall〜
そんな彼女だから俺の名前を呼ばない理由も、きっと優しさなんだろう。

いつか俺を呼ぶ女のために呼ばないようにしているんだと思う。

自分が呼ぶことが特別になってしまわないように。


とても皮肉だ。


でも、自分が俺の特別だと、ちゃんとわかってくれている。

それが、こんなにも嬉しい。


彼女は彼女なりにいつも俺の未来を考えてくれている。

俺の願いは、その未来を彼女と作っていくことだけど、

それが叶わないことを、俺は誰より知っていた。

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