ブラッディ・ロマンス。【短編】
SIDE-HINA ‡ キスをあたしに、その血をあなたに
† 誘惑の味 †
静まった教室に一歩、足を踏み入れる。
誰もいないかと思ってたそこに、彼がいた。
西日に照らされながら、机に伏せて眠る彼、神藤 響(シントウ ヒビキ)くん。
あたしの机はその隣。
荷物をそこに置いたままということもあって、彼に近寄った。
熟睡しているのか、その足音にも目を覚まさない。
神藤くんは左腕をまっすぐ前に伸ばし、その上に頭を右向けてのせている。
下を向いていないから、その顔がうかがえた。
サラサラの薄茶色の髪の毛。
長いまつげ。
薄い唇。
彼を間近で見た瞬間、触れたいと思った。
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