ブラッディ・ロマンス。【短編】

「ごめん、痛かった?」


「い、痛みはもうないけど、神藤くんってなんなの?」



あたしは彼の手をはねのけるように、首筋を自分の手で覆った。


一瞬、神藤くんの瞳に悲しそうな色が浮かび、

胸がズキンと痛んだ。



「あ、ごめ…」


思わず、謝ろうとしたけど、

神藤くんはそれに気づかなかったのか、困ったような顔で笑って言った。



「うーんと、吸血鬼」


「きゅう…けつき」


「ああ。血を食べて生きてる」



その言葉に、あたしは目を見開いた。



吸血鬼ということは、あたしも考えていた。


でも、それがどういうことなのか、わかってなかったんだ。



神藤くんは、血を食べて、生きてる…?



< 11 / 114 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop