ブラッディ・ロマンス。【短編】

どれほど経ったのか。


ようやく首筋から離れ、

今度は視線をあげた先にあった唇を見た。



唇も、欲しい。


マーキングとか、そんなの関係なく、純粋にキスをしたい。



オレは今頃になってようやく、自分の気持ちに気づいた。



キス、したい。


でも、その前にと、オレはポケットに入れていた鉄の錠剤を取った。


吸いすぎた分だけ、これで補わなければ。



オレは舌に錠剤を乗せて、ヒナにキスをした。



「ヒナ、ヒナ、好きだ。オレのそばにいて」


思いが溢れる。

< 111 / 114 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop