ブラッディ・ロマンス。【短編】
力の入らない唇を割って、何か入ってくる。
舌だ。
と理解する前に、一緒に水が注ぎ込まれた。
とっさに、飲み込む。
神藤くんの舌に吸いつくように、あたしは水を飲んだ。
神藤くんはすぐに唇を離した。
「大丈夫だ」
彼の指があたしの唇からこぼれ落ちた水を拭う。
「これは特別な錠剤だ。
オレらが血を吸いすぎた時に使うもので、一晩もすれば元気になるはずだ」
「そう…よかった…」
あたしは心持ち微笑んだ。