ブラッディ・ロマンス。【短編】
あたしは安心すると、
改めて、神藤くんを見た。
心配そうに眉を寄せて、真剣な瞳であたしを見つめる顔。
そんなふうに見られていると、
それだけでドキドキして、好きだと錯覚しそうになる。
成績。
運動神経。
容姿。
どれをとっても人より抜きんでていて、
一年生なのに、上級生が神藤くんを見に来るほどの存在感。
『スターの素質』とでもいうのかな。
ただカッコいいだけではなく、
人目を引きつける何かがあると思っていた。
その何かが、
まさか、
人ではなく吸血鬼ということだったなんて…。