ブラッディ・ロマンス。【短編】
† 狂おしい思い †
「…ん」
あたしは眉を寄せて、唇をきゅっと引き結んだ。
痛いわけではない。
だけど、彼の牙があたしの内を通る違和感は、いつまで経っても慣れなかった。
ゴクンと音が微かに聞こえた気がした。
と思う間もなく、神藤くんはあたしから離れ、
今度は唇に触れる。
いつものこと。
彼はあたしの血を飲み、キスをする。
自分の味のキス。
この異常な雰囲気に頭がクラクラする。
あたし、どうしてこんなことになってるの…?