ブラッディ・ロマンス。【短編】
肩にかかるくらいの髪をおろし、メガネをかけた里枝はあたしとも仲がいいからか、
柏木さんが誰に告白したかまで教えてくれる。
『神藤くんに告白』と聞いた瞬間に、あたしの脳裏にあることがよぎった。
「それって、やっぱり……」
「そうよ、君じゃダメなんだって言われたの!」
あたしの言葉を遮るように怒鳴る柏木さんの姿にびっくりして、教室の空気が凍る。
『君じゃダメなんだ』
それが神藤くんの断りの文句として、みんなに知られている。
なら、誰がいいのか。
みんなの気になるところ。
あたしは柏木さんを前にして、ほくそ笑んでしまいそうになる。