ブラッディ・ロマンス。【短編】

神藤くんのことは何も知らない。



あたしが知ってるのは、彼の唇の感触だけなんだ…。


その事実に、なぜか、ガク然とした気分になった。



「元気だしてね」


柏木さんに励ましの言葉をおくると、自分の席に向かった。



どうしてだろう。


今の励ましの言葉を自分にも言ってあげたい…。






放課後になって、あたしは神藤くんを探していた。



今日は血をあげる日。


それなのに、彼の姿が教室になかった。


< 27 / 114 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop