ブラッディ・ロマンス。【短編】
4階まで上り、さらに上、屋上への階段を5段上ったとき、
「響くん」とか細く高い女子の声が聞こえた。
ヒビキくん…?
思わず、足を止めて耳をすませる。
「好きなの」
「……柏木」
踊り場の向こうにいるのか、姿は見えない。
だけど、女子の告白のあとに聞こえた声は神藤くんの声に思えた。
神藤くんの名前は、響。
単なる偶然?
ドキンドキンと心臓が騒ぎだす。
あたしは胸を掴むかのように、ブラウスを右手で握りしめた。