ブラッディ・ロマンス。【短編】
「知らないっ…」
あたしは離してもらえない腕から、彼を勢いよく振り払った。
そして、走りだす。
彼から逃げるように教室を出て、廊下を駆け抜けようとした。
だけど。
「待てよ」
「ひゃっ」
あたしは逃げる間もなく、あっけなく捕まってしまった。
神藤くんに肩を掴まれ、強い力でクルリと体を反転させられる。
気づいた時には、彼と向かい合わせになっていた。
神藤くんを見上げると、
その瞳が怒りで燃えていて、ビクッとなる。
あたしは視線をそらしてしまった。