ブラッディ・ロマンス。【短編】
…なんだか怖い。
「それで、なんで先に帰ったんだ?」
神藤くんはさっきと同じ言葉を繰り返した。
その口調があたしを責めているように感じられて、ズルいと思ってしまう。
もともと、先に教室からいなくなったのは神藤くんなのに。
彼にとって、あたしが教室で待つことは絶対みたいだ。
確かに、3日に1度の吸血が始まって、そのサイクルがくずれたのは初めてのこと。
だけど、くずしたのは神藤くんだ。
あたしじゃない。
あたしは意を決して、顔を上げ、彼を見据えた。
彼に負けないように、
挑むかのように、
顔を引き締める。
「あたしはもう必要ないと思ったから」