ブラッディ・ロマンス。【短編】
「…は?」
意味がわからない、と彼の顔が物語っていた。
「別の血を吸う相手を見つけたんでしょ?」
あたしは昨日見てしまったということをほのめかした。
彼が誰の血を吸おうとあたしには関係ないはず。
それなのに、神藤くんの唇が誰か他の女の子の首筋にキスをして、
その牙が貫かれたかと思うと、不快感は拭えなかった。
誰かと神藤くんを共有するみたいで嫌だった。
他の子の血を吸うというなら、
あたしはもう神藤くんに触れてほしくない。
あたしは再び、肩におかれたままになっていた彼の手を振り払って、言った。
「あたし、もう神藤くんに血を吸ってほしくないの」