ブラッディ・ロマンス。【短編】
勢いよくドアを開けた先に、神藤くんはいた。
あたしは息を飲んだ。
どうしてそこにいるの?
忘れるはずがない。
神藤くんは、あたしがキスしてしまったときに彼が寝ていた机に座って、
机を撫でるように触ってた。
すべての始まり。
そのときは神藤くんの席で、今は別の誰かの席だ。
それなのに、彼がその席にいる。
憂いのある顔をして。
神藤くんは顔をあげて、あたしを見た。
その顔は、口もとだけでほほ笑んでいる。
「やっぱり見つかっちゃたか」