ブラッディ・ロマンス。【短編】
あたしは神藤くんに駆け寄って、その顔を覗きこんだ。
「大丈夫?」
神藤くんは青ざめていた。
朝からずっと顔色が悪くて、
女子に騒がれて笑っているときも、無理をしているように見えた。
あたしは、彼がどうしてこんなに体調が悪そうなのか、心当たりがあった。
それは、ハロウィン。
日本のお盆にあたる日だ。
カトリックの人々は悪霊がはびこると信じ、おばけなどの格好をして、その悪霊を追い払う。
吸血鬼は、一度死んだ人間が不死身の体で蘇って、吸血鬼になると言われている。
そんなふうに神藤くんが吸血鬼となったとは思えない。