ブラッディ・ロマンス。【短編】
だけど、聖なる十字架に弱い吸血鬼も悪霊のひとつと言えそうで、
このハロウィンパーティーが神藤くんに悪い影響を及ぼすんじゃないかと心配していたんだ。
彼を支えようと、
あたしは横に回り込んで、その背中に触れようとした。
そのとき、大きな声が静寂をやぶる。
「やめろ!」
あたしはびっくりした。
とっさに動きを止め、半歩分、体を離す。
叫んだのは、神藤くんだった。
右手で顔をおさえ、苦しそうにしている。
それなのに、
あたしは拒まれてしまった。
「…ど…して」