ブラッディ・ロマンス。【短編】
「たしかに、柏木の首筋に顔を寄せた。
彼女に、好きだから体だけの関係でもいい、抱いて欲しいって言われたんだ」
あたしは息を飲んだ。
嫌な考えが…頭を駆け巡る。
「あれは血を吸おうとしたんじゃなくて、体にキスしてたの? 彼女を抱くために」
「それも、違う。好きじゃない子を抱こうなんて、思えなかった」
彼の言葉に、あたしは息を吐き出した。
あたし、ホッとしてる。
神藤くんが柏木さんの血を吸うのはやっぱり嫌だ。
生きるためには仕方ないけど、複雑な気持ちになる。
でも、彼女を抱こうとしたかもしれないなんて、それはもっと嫌なんだ。
ショックを通り越してる。