ブラッディ・ロマンス。【短編】
彼にあたしをあげたい。
血を吸いやすいように、
ワンピースの襟ぐりを左下に引っ張って、左の肩まで素肌を見せる。
その瞬間、彼の喉からゴクリと唾を飲み込む音が響いた。
薄く開かれた唇からは、白く長い牙が覗いている。
「我慢、しないで」
あたしは背のびしたまま神藤くんの頭の後ろに手をやると、
かかとを下ろしながら、その頭を左の首筋に引き寄せた。
そこで彼の理性が切れてしまったのか、
神藤くんは痛いほどがっちりとあたしの両肩を掴み、首筋に熱いキスをした。
それはとても荒々しく、
初めてのとき以上の激痛が首筋を貫く。