ブラッディ・ロマンス。【短編】
「うっ」と声を洩らした後は、必死にたえていた。
その痛みがあたしの意識をここに留めている。
ゴクンゴクンと喉の鳴る音が、
遠くの音のように聞こえた。
本当に死んでしまうかもしれない。
そんな恐怖は、不思議となかった。
死ぬほども血を吸われる前に、神藤くんが止めてくれると信じている。
いつもは1分にも満たない吸血なのに、今日はその何倍もの時間吸われた気がする。
ようやく神藤くんは離れた。
頭が少しクラクラする。
でも、初めて吸われた時ほどじゃない。
あたしがふうっと息をつくと、
その息を飲み込むように今度は唇を塞がれる。