ブラッディ・ロマンス。【短編】
血の鉄臭い味が口に広がる。
舌の先に、錠剤が乗せられ、
あたしはそれを飲み込んだ。
「ヒナ、ヒナ、好きだ。オレのそばにいて」
唇を離し、うわ言のようにつぶやくと、
またキスをする。
その言葉で、体が熱くなった。
いつの間にか止まっていた涙が再びあふれる。
でも、今の涙は悲しい涙ではない。
彼の言葉が嬉しかった
ああ、あたしも好きなんだ。
その思いが、ストンと胸のうちで落ち着く。