ブラッディ・ロマンス。【短編】
「きゅう…けつき?」
雛野は一拍以上、間を置いてから、聞き返してきた。
こんなこと、簡単には信じられないんだろう。
オレだって、もしも普通の人間だったら、
そんなのは空想の世界だけだと笑い飛ばしたかもしれない。
「ああ。血を食べて生きてる」
オレはできるだけ、なんてことないように言った。
血を吸うのがあたり前って顔をしたい。
カッコつけたい。
でも…。
「と言っても、オレも初めて人から血を吸ったから、ちょっとびっくりしてる」
現実はこんなものだ。
人から血を吸って、気を抜けば震えてきそうだ。