ブラッディ・ロマンス。【短編】

左手に力をこめ、倒れかけた彼女の体を起こすと、机の足にもたれかけさせた。


オレはひと声かけて立ち上げる。



たしか、何かあったときのために親にもたされた鉄分の錠剤があったはずだ。


血を吸いすぎた時に飲ませろと、

普通よりも強力な、オレら吸血鬼の間だけで流通してる代物だ。



かばんを開けて、中を探ると、

ノートや教科書の横に錠剤のビンと水のペットボトルがあった。


オレは2錠取り出し、水と一緒に雛野に渡す。


「ほら、これ飲んで」


「これ…何?」


「鉄の錠剤」


「てつ…」


うつろな彼女の声に、オレは焦った。


さっきまでは普通に会話してたのに、症状がひどくなってきてる…?

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