ブラッディ・ロマンス。【短編】
「もしかしたら、血を飲み過ぎて貧血を起してるのかもしれない。
気休めだけど、飲めば明日が楽になると思うから」
オレが催促すると、雛野はうなずいたけど、動かなかった。
早く飲んで、元気に笑ってくれ。
そう思うのに、彼女は手の平に置いた錠剤を眺めるばかり。
…もしかして、動けないのか…?
「…仕方ないな、貸して」
オレは平静を装いながら、彼女の前に膝をつくと、
彼女から受け取った錠剤と水を口に含んだ。
すぐに、雛野の唇に、唇を合わせる。
力ない唇を舌でこじ開けると、錠剤を水ごと、雛野に流し込んだ。